思い

土と向き合い、未来を紡ぐ   江戸屋の農法と持続可能な農業への挑戦

まず、先に申し上げますが私たちは、慣行農業で農薬、化学肥料を使用している農家を否定しているわけではありません。
現在の豊かな食を支えているは間違いなく慣行農業です。
ですので、農家の方々には敬意を表し、私たちも慣行農業で作られた野菜、米も食べています。
ただ、未来を見据えた時に、「このままでいいのか」という疑問点、少しでも多く、無農薬・有機栽培が増えてほしいという思いです。

1. 私たちが「農薬・化学肥料に頼らない」理由

近代・現代の一般的な農業(慣行農法)において、農薬や化学肥料は「効率よく、大量に、綺麗な作物を作る」ための欠かせない道具となっています。

しかし、その利便性と引き換えに、長期的には無視できない深刻な課題が生まれています。

○土の中の「生態系」の破壊

農薬や化学肥料を使い続けると、病害虫だけでなく土中に無数に存在する「益虫や微生物」まで姿を消してしまいます。
その結果、土は硬く痩せ、化学肥料を与え続けないと作物が育たない“ドーピング状態”に陥ります。
また、農薬(除草剤)を使用した土壌は、ワンシーズン雑草すら生えてこない砂漠のような状態になってしまうのです。(種類にもよる)

○耐性菌・耐性虫とのいたちごっこ

特定の農薬を使い続けると、それに耐性を持った強靭な害虫や雑草(スーパーウィードなど)が現れます。
その結果、さらに強い農薬をより多く撒かなければ効かなくなる負のループに陥ります。

○生物多様性の低下と生態系の崩壊

ミミズ、てんとう虫、ミツバチ、カマキリ、クモ、トンボなど、田畑を取り巻く生態系が崩れます。
特に受粉を担うミツバチの減少(蜂群崩壊症候群など)は、世界中の農業の存続を脅かしています。

○経営(コスト)面の圧迫

耐性がつくたびに新しい農薬が必要になり、化学肥料や燃料の高騰も相まって、「資材を買い続けないと作物が作れない」高コストな構造から抜け出せなくなります。

○次世代へ繋げない
「今だけ良ければいい農業」ではなく、「50年後、100年後も生き続ける土」を残したい。
これが、私たちが農薬・化学肥料に頼らない最大の理由です。

2. データが示す、慣行農業の「持続可能性(サステナビリティ)」の限界

結論から言うと、現在のペースで化学農薬と化学肥料のみに頼り続ける農業は「持続可能ではない」というのが世界的な共通認識です。

■ 世界との比較で見る日本の現状(1haあたりの農薬使用量)

(データ元:国連食糧農業機関 FAOSTAT)

日本: 約8.0kg〜11.4kg / ha(アジアトップクラス・OECD内でも上位)

アメリカ: 約2.5kg / ha

EU平均: 約1.6kg / ha(厳しい環境規制とオーガニックの主流化)

世界平均: 約2.4kg / ha

日本の農薬使用量は世界的に見てもトップクラスです。さらに、農薬の約25%は輸入であり、国内で合成する原料も石油由来の基礎化学物質を海外に依存しています。

■ 肥料原料の「海外依存」というリスク

化学肥料の原料となる三要素(窒素・リン・カリ)のうち、リンとカリの国内鉱物資源はゼロ。
国内自給率はほぼ0%で、ほぼ100%を海外からの輸入に頼っています。

もし情勢の変化で輸入がストップすれば、「日本の現在の慣行農法は成り立たない」のが紛れもない現実です。

農林水産省の「みどりの食料システム戦略」でも、2050年までに化学農薬50%低減、有機農業の取組面積を現在の約0.5%(2.5万ha)から25%(100万ha)へ拡大する目標を掲げており、国としても大きな転換期を迎えています。
【データ元:農林水産省が公表している「農薬をめぐる情勢」および「食料・農業・農村白書」「肥料をめぐる情勢」に基づく】

3. 「手間の先」にある、本当の安心と美味しさを信じて

膨大な時間と果てしない手作業を要する「栽培期間中 農薬・化学肥料不使用」の道を選ぶ理由は、とてもシンプルです。

「自分たちが自信を持って、家族や大切な人に食べさせられる本当の作物を作りたいから」

■ 効率よりも、命の力を届ける「丁寧な仕事」

順風満帆ではない人生だからこそ、私たちは「自分の手で暮らしを作り出し、命の源である食べ物を安心して口にできること」の尊さに気づきました。

夏場は早朝から田んぼに入り、生い茂る雑草を手押し除草機や自分たちの手で一本一本抜いていきます。
虫食い対策や病気の予防のため、毎日作物の「顔」をじっと見つめながら手間暇をかけ続けます。

周りの農家さんからは「そんな大変なやり方をしなくても…」と心配されることや、
「昔を思い出すな。」と喜ばれることもあります。
そうして汗を流した分だけ作物はたくましく根を張り、身体が喜ぶ力強いエネルギーを蓄えてくれます。
大量生産の効率や見た目の綺麗さよりも、一粒・一品に込める「丁寧な仕事」を私たちは大切にしています。

4. 自然のサイクルと共生する「これからの農業」

北信州・木島平の豊かな土壌と、霊峰から流れる奇跡のような雪解け水。

この恵まれた環境があるからこそ、過剰な化学物質で土を甘やかさず、自然本来の力を引き出したいと考えています。

私たちが目指すのは、木島平の豊かな自然、命がめぐる本物の土、そして日本の伝統文化を数十年、数百年先の未来へ残していくこと。

農薬に頼る方法が主流の今だからこそ、私たちは「泥臭く、まっすぐな農業」を選びます。

変わることの多い時代だからこそ、「変わらないことへの挑戦」でもあります。

江戸屋が届けるのは、ただの農作物ではありません。

私たちが覚悟を持って向き合った、「安心と伝統、自然のエネルギー」そのものです。

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